• "水田"(/)
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  1. 宮城県議会 1949-08-01
    08月19日-02号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    昭和24年  8月 定例会(第21回)第二十一回宮城県議会議事速記録(第二号)  昭和二十四年八月十九日(金曜日)    午後一時十三分開議議長               椛沢敬之助君副議長              鮎貝盛益君 出席議員(四十五名)    第一番          森 健次郎君    第二番          大平良治君    第三番          遠藤 要君    第五番          木田豊吉君    第六番          佐藤民三郎君    第七番          師 義三君    第八番          加藤武雄君    第九番          千葉松三郎君    第十番          石塚英馬君   第十一番          阿部権治郎君   第十二番          欠員   第十三番          小野寺勝一郎君   第十五番          今野貞亮君   第十六番          粟野豊助君   第十七番          石垣義雄君   第十八番          斎藤国雄君   第十九番          高橋友衛君   第二十番          佐々木省三君  第二十三番          加藤正義君  第二十四番          高泉勝次君  第二十五番          斎藤荘次郎君  第二十六番          鮎貝盛益君  第二十七番          菅原運治郎君  第二十八番          亘理正彦君  第二十九番          三春重雄君  第三十一番          松尾力治君  第三十二番          清野源助君  第三十三番          千葉隆三郎君  第三十四番          須田欣衛君  第三十五番          全先清水君  第三十六番          屋代文太郎君  第三十七番          只木和六君  第三十八番          若林豊平君  第三十九番          千石正乃夫君   第四十番          浅野豊次郎君  第四十一番          小野寺誠毅君  第四十二番          阿部来太郎君  第四十三番          丹野亀一郎君  第四十五番          高橋大蔵君  第四十六番          佐々木源左エ門君  第四十七番          百井英一君  第四十八番          松尾啓三君  第四十九番          門間正寿君   第五十番          佐藤新助君  第五十一番          平野 博君  第五十二番          星 勇之助君 欠席議員(六名)    第四番          椛沢敬之助君   第十四番          安倍春雄君  第二十一番          那須豊治君  第二十二番          清水源太郎君   第三十番          狩野 伝君  第四十四番          荒井律二君    ------------------------------ 執行機関よりの出席者 副知事             高橋進太郎君  総務部長           塩谷末吉君  民生部長           立花繁男君  経済部長           直江丙午郎君  土木部長           照井隆三郎君  衛生部長           古野秀雄君  農地部長           山尾三千雄君  商工部長           坂本 晃君  水産部長           石井省一郎君  労働部長事務取扱)副知事  高橋進太郎君  渉外事務局長         河野達一君  出納長            岡信侠助君  副出納長           佐藤令一君 総務部  秘書課長           荘司庄九郎君  弘報課長           橋森義松君  文書課長           秋山徳郎君  人事課長           新澤亀壽君  庶務課長           石川一郎君  税務課長           及川角壽君  地方課長           嶺岸與四郎君  経理課長           阿部末吉君  調査課長           早川淳一君  特殊物件課長         小野 勤君 民生部  社会課長           木村要蔵君  児童課長           西村千代子君  保険課長           松岡義雄君  世話課長           鈴木 忠君 経済部  農務課長           嶺岸長五郎君  農業改良課長         志賀政敏君  食糧課長           伊達安雄君  畜産課長           木村忠吾君  林務課長           吉田潤彌君  蚕糸課長           山本友之丞君 土木部  監理課長           富岡茂雄君  計画課長           塩原三郎君  道路課長           北村正之君  河港課長           大谷 英君  砂防課長           米村新之助君  住宅課長           伊藤一男君  建築課長           渡邊秀雄君 農地部  農地課長           瀧澤昌一君  農業協同組合課長       大泉吉郎君  耕地課長           安部義正君  開拓課長           大須賀利清君 衛生部  医務課長           泉田 寔君  公衆保健課長         伊吹皎三君  予防課長           藤田靜夫君  薬務課長           五十嵐吉久君 商工部  企画課長(兼)        秋山徳郎君  商工課長           宍戸長藏君 水産部  漁政課長           二瓶 保君  水産課長           小貫道也君  施設課長           成澤淳一君 労働部  労政課長           長沼 進君  職業安定課長         佐治秀松君  失業保険徴収課長       山田武夫君 渉外事務局  渉外第一課長         中島良夫君  同 第二課長         早坂四郎君  出納第一課長事務取扱     佐藤令一君  出納第二課長         斎藤浩蔵君  庶務課            高橋彦治君  公安委員           堀田 榮君  宮城県警察隊長        沼田喜三雄君  教育委員           野口秀敏君  教育長            三沢房太郎君  教育次長           高山政雄君  総務課長           大槻七郎君  学務課長           山下 忠君  社会教育課長         廣野和藏君  保健体育課長         常松 喬君  指導課長           江波丈夫君  秘書室主任調査課長     菊地 清君    ------------------------------    議事日程一、開議宣言一、会議録署名員指名一、諸報告一、会議日程報告一、議第百十五号議案乃至議第百二十号議案追加上程一、知事提案理由説明一、建議第二十号議案追加上程一、一般質問一、議案各常任委員会付託一、請願陳情等報告    ------------------------------開議宣言 ○副議長(鮎貝盛益君) 出席議員半数以上であります。ただいまより会議を開きます。    ------------------------------会議録署名員選挙 ○副議長(鮎貝盛益君) 会議録署名員を指名いたします。二番、三番、五番の三君をお願いいたします。    ------------------------------ △諸報告 ○副議長(鮎貝盛益君) 次に御報告いたします。議員清水源太郎君より本日より二日間欠席する旨の届出がございました。なお議員椛沢敬之助君より本日一日欠席する旨の届出があります。林務課長 吉田潤彌君より本日より二日間公務出張のため欠席する旨の届出がございました。    ------------------------------会議日程報告 ○副議長(鮎貝盛益君) 次に本日の会議日程は上程中の議第一〇一号議案、ないし議第一一四号議案の継続議であります。この際知事の出席を求めます。  〔知事以下各参與出席〕    ------------------------------ △議第百十五号議案乃至議第百二十号議案追加上程 ○副議長(鮎貝盛益君) 次にお諮りいたします。本日の日程を追加いたしまして、知事より追加提案されました議題一一五号議案ないし議題一二〇号議案を本日の日程とすることに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(鮎貝盛益君) 御異議ないと認めまして右各号議案を本日の日程といたします。 次にただいま追加上程されました各号議案につきまして知事の提案理由の説明を願います。  〔番外知事佐々木家寿治登壇〕    ------------------------------知事提案理由説明 ◎番外[知事](佐々木家寿治君) ただいま上程になりました議案の御審議を煩わすにあたりまして、その提案理由及び内容の大略を御説明申し上げ、議員各位の御協力を仰ぎたいと思います。 今回提出した予算案は六月予算の成立後の情勢の推移により必要やむを得ないと認められる義務的経費を中心として計上し、その事業の執行に支障のないよう措置したのでありまして、逼迫した県財政の制約のもとにおいてできる限りの補正を加えた追加予算ということができるのであります。即ち総額およそ一億八千七百二十余萬円中その主なるものとしてはまず第一に総額の五八%を占める産業経済費一億八百三十余萬円をあげることができるのでありますがその内容は、農業調整費一千二百八十余萬主要食糧管理施設費五百十余萬円、大規模農業水利改良事業費二百八十萬円等、国庫補助の確定によつて計上することとしたもの五千三百二十余萬円、その他制度の改廃又は事業執行のため必要欠くべからざる事務的経費を計上することとしたほか、特に本県産業振興開発の見地から第一には刻下の急務である中小企業当面の金融難を緩和するために、とりあえす商工組合中央金庫を通して三千萬円の融資を行うこととし第二には単作地帯たる東北各県永年の県案である水田裏作の実施普及を促進するための暫定的な所要経費百五十萬円を計上して将来における本県農業経済の安定を目指し第三には水産産業振興対策として深海魚の試験捕獲を実施調査するための経費三百二十余萬円を計上し、第四には畜産五箇年計画の一環として家畜振興費三百十余萬円を計上するとともに七月一日より本県に移管された宮城種蓄場整備費四百六十余萬円をも計上して、畜産振興に遺憾のないよう期しているのであります。 次に社会及び労働施設費四千四百六十余萬円は、総額のおよそ一四%に及ぶのでありますが、その主なるものとしては現下の労働情勢に即応し六百人の失業者救済を目途とした失業応急事業費二千一百六十余萬円、共同作業所運営費一百三十余萬円および引揚再開に伴う所要経費八百五十余萬円をあげることができるのであります。 次に保健衛生費一千三十余萬円は県民の健康確保の見地から必要欠くべからざる経費及び衛生行政執行上必要な設備拡充費が主なるものでありますが、従来必ずしも十分ではなかつた都市の汚物処理、水道設備等調査研究費一百萬円を計上して都市衛生に萬全を期したいと考えているのであります。 以上のほかに教育委員会関係予算としては九百七十萬円余を計上し、なおそのほかにあるいは法令の規定により、あるいは県の事業執行上当然支出しなければならない所要経費を計上することとしたのであります。 なお財政上の都合により昭和二十三年度予算に計上してありながら、償還できなかつた地方職員給與費政府貸付金元利償還金四千四百五十九萬余円及び県税過納還付金百八十余萬円等も合せて計上することといたしましたので、実質的な歳出総額は二億三千六百十余萬円に及ぶのでありますがこれらの経費については翌年度歳入繰上充用金を減じて財源に充当することにいたしましたので、歳出の総計において一億八千七百二十三萬四千五百九十円に達する結果となるのでありまして、その財源としてはすでに確定した国庫支出金九千二十余萬円使用料及び手数料七百六十余萬円、寄付金負担金その他雑収入四千五百八十余萬円、現状において確実に見込むことのできる地方配付税の増額分三千三百四十余萬円をもつて充当し、その残余一千萬円は地方債によつてまかなうこととして収支の均衡を確保することとしたのであります。 これを要するに今回提出する予算は地方財政の直面する客観情勢のもとにおいて、できる限りの補正を加え、事業執行の円滑化をはかることを目的として編成された追加予算ということができるのでありましてどうか十分御審議の上可決されることを切望する次第であります。    ------------------------------ △建議第二十号議案追加上程 ○副議長(鮎貝盛益君) 次にお諮りいたします。本日の日程を追加いたしまして議員松尾啓三君外三名提出にかかる建議第二十号議案を本日の日程とすることに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(鮎貝盛益君) 御異議ないと認めまして右議案を本日の日程といたします。    ------------------------------建議第二十号    建議 別紙事件につき意見書を提出したいので建議する。 昭和二十四年八月十九日                    提出議員 松尾啓三君外三名宮城県議会議長 椛沢敬之助殿    意見書一、公共の用に供しつつある私有地の地租免除について方途を講ぜられたい。    理由 凡そ租税は利益に対する課税でなければならぬと思ふのであるが私有地であつて所有者の意の如くならず或は全く所有者においてその収益のないもの及収益を著しく減じている左記状態の土地に対し地租の免除についての方途を講ぜられたい。     記一、私有地で市町村道として専用せられあるも未だ編入手続をされず課税の対象とせられている土地。二、都市計画法の適用その他の理由によつて所有者自身の意志による使用を禁止されてあるもので課税の対象となつている土地。 右地方自治法第九十九條により意見書を提出する。 昭和二十四年八月  日                    議長名知事宛    ------------------------------ ただいま上程されました建議第二十号議案は総務常任委員会にその審査を付託いたします。 次に七番より緊急質問の通告がありますのでこれをお許しいたします。  〔七番師義三君登壇〕 ◆七番(師義三君) 私は栗原地方事務所の電話の通話停止の問題につきまして、まず第一に知事さんに、第二には監査員の方にその所信を伺つてみたいと思うのであります。 まず知事さんにお伺い申し上げます。この問題につきましてはすでに議長さんを煩わしまして御調査をいただきましたものがお手元に配付になつておりますので、それに対する再質問というわけでございますが最初私の考えたところでは、この栗原地方事務所の電話が停止されたことに対する県当局の見解、あるいはそれを心配することこれはおそらく当局といえども私どもと何ら違いがないだろう。こういうような考えをもつて質問書を提出いたしたような次第でございます。しかるにもかかわらず、その答弁の書類を拝見いたしますと、まことに意外でありまして、答弁の内容がほとんど事務的であり、官僚的であり、まことに不満足というほかありません。そこでここに再度質問をいたすことになつたのでございます。先日私は十二項目にわたる質問書を提出いたしておいたのであります。それに対してたいへん丁寧な長いお答えがあつたのでありますが、要約しまするとお答えの要点は三つにわかれておつたようであります。まず第一に通話料を不払いとしなければならなかつた原因は出納経理が遅れなければならなかつた原因は県職員の怠慢とか何とかいうことに原因があるのではなくて、わが宮城県の予算は四十三億二千二百萬円であるが、その予算の半分以上の二十三億三千萬円は国庫の支出金である。従つて通信費どころではなく、あるいは旅費のようなもの、あるいは消耗品のようなものでも今まで国家と県との共同経費になつておるのでとうてい県だけでまかなうことができないのである。国家から来ない以上、何ともしようがないというような御答弁なのであります。いわゆる紐つき予算であるからいかんともしかたがない。こういうようなお答えでありますが、私はこれは詭弁もはなはだしいと思うのであります、なぜかといいますと栗原地方事務所の電話の予算は当局の調査によりますと十五萬円を越えておるのであります。その十五萬円を越える予算の中で四月分の通話料として四萬二千そこそこしか金を払つておりません。従つて予算面においてはなお十一萬円以上の余裕があるのである。そこでもし通話停止というような事態ができて来た場合に、当局のいう通りに一切の費用が紐つき予算であつて国家と県とのこれは合同事業だというようなことであつたといたしましても、残りが十一萬円もあるのであるから、そのうち一月分くらい出したところでこれは出し過ぎになるはずがないのであります。こういう点に少しも触れるところなく、紐つき予算であるから何ともいたしかたがないというような答弁はわれわれは納得が行かないのであります。もしかりに当局のいうように紐つき予算であるがゆえに、地方事務所の電話がたまたま通話の停止をされる。あるいは職員の出張をやめなければならぬことがある。あるいは何か事務上必要な消耗品も半分しか買うことができないようなことがある。こういうような御議論でありましたならば、栗原地方事務所だけでなく、ほかの地方事務所にもこういうような事態がなければならない。しかるに栗原郡を除いては通話停止になつたところはない。こういう点から考えまして、私は当局の答弁はまことに真相に触れない答弁であると思うのであります。またかりに百歩讓りまして紐つき予算なるがためということを肯定いたしたとすれば、紐つき予算は本年始つたわけでなく、昨年もそうであります。一昨年もそうであります。しかしながら一昨年あるいは昨年というような近いことでなしに、永い過去にさかのぼつても私は地方事務所の電話が停止されたというようなことはないと思うのであります。なぜ同じ状態にありながら栗原地方事務所だけが通話停止になつたか、これを研究してみなければなりません。その点に対するお答えをいただかなければならないと思うのであります 第二に当局のいうところでは、これは決して職員の怠慢ではない、職員の公僕としての熱意の不足でないと断言されておるのであります。ところがこれは私は県がその答弁の中においてそうであるということを自白しておるものと思うのであります。なぜであるかというと、栗原地方事務所の電話が停止になりましたのは八月四日、ところがそれを県が知つたのは八月五日であるどうして知つたかというと答弁書によりますと県会事務局からの照会によつて初めてこれを知つたというのであります。そうすると栗原地方事務所としては、肝心かなめの執務上絶対必要であるべき電話が停止されたというのに、県会事務局から照会されるまで県に報告しなかつたということがいえます。またそれに対する処置はどうしたかということに対しては、八月の八日に栗原地方事務所総務課長を呼んで事情を聴取した。こういうのであります。私は栗原地方事務所の人たちも人たちであるが、県もあまり怠慢がはなはだしいではないか、八月五日の午後二時に県会事務局から栗原地方事務所の電話が停止されたということを聞いたならば、なぜその日のうちに総務課長を呼んで事情を聴取しなかつたか。これが怠慢でなくして一体何であるかと思うのであります。電話の必要であることはいまさら私が強調することもありません。栗原地方事務所の電話料金を見ますると一箇月に少くとも四萬円の電話料を払つておる月四萬円の電話料というと、一日の通話料が約千円以上に上つておる。そういうような必要な通信機関、町村との連絡機関、上司との連絡機関を杜絶しておいて、何ら顧みるところがなかつたということは、一体これは不可抗力でありましようか。紐つき予算のためでありましようか。私はそうでないと考えざるを得ないのであります。これはまことにお気の毒でありますけれども佐々木知事に私は大いに反省をしていただかなければならないと思うのであります。佐々木知事は少くとも宮城県庁の吏員の方々の綱紀を粛正するということを一枚看板に掲げられたようにわれわれは記憶しておるのであります。しかしながらこれは佐々木知事だけのことでありません。あらゆる人がそうでなければならぬと思うのであります。ところが宮城県の吏員の執務状態を振粛するあるいはこれを粛正するということは執務の状態の認識から出発しなければならぬと思うのであります。いかなる状態に執務がなされておるかということの認識が、先決問題でありまして、その認識があつて初めて私は振粛ができると思います。いかに声を大にして振粛する粛正するといいましても、できた事柄に対してこれでもいいあれでもいいということではいつまでたつても振粛はできるはずがないと思うのであります。栗原地方事務所の電話の通話停止というようなこういう大きな問題に対する認識があるのであるか、ないのであるかわかりませんけれども、それは決して公僕としての熱意が足らないのでなくて、紐つき予算の結果であるということは知事の本意でないと思うのであります。アメリカの名評論家メートランドという人の飜訳を私見たのでありますが、一事の乱れは萬事に通ずるという言葉がございました。これはまことに名言でございまして栗原郡の電話が停止になつたということは、私は佐々木県政の全部に通ずると思うのであります。この点に対して私は確たる御答弁を仰ぎたいと思います。 なお通話停止中に何事かおきなかつたかという第三の質問に対してであります。特に重大事件は起きないという答弁でございます。そこで私はこの点を知事さんに伺つてみたい。重大事件と申しますと、今新聞をにぎわしておる下山事件三鷹事件、あるいは大洪水も重大事件に違いありませんしかしながら一県の代表者となつて県の政治家となつて、そうして重大事件と考えますときには、私は県民の生活問題これが重大問題であると考えるのであります。百五十萬県民のうちの一人でも県政がスムースに行かないために、もし生活に困つたということがあれば、これは佐々木県政の中の重大事件でなければなりません。しかるにもかかわらず、この電話停止によりまして重大事件がなかつたといつておるのでありますが、私はまことに、遺憾とせざるを得ないのであります。私がこの問題に関係をいたしました根本の原因をひとつ知事さんに申し上げて御参考に供したいと思います。われわれ町村におる者が、今最も困つておるのは税金の滞納問題であります。もちろんその根本といたしましては、いかに楽に町村民に税金を納めさせるかということが問題でありますけれども、自治体の当面の問題としては税金をいかにとりたてるかという問題があります。われわれの村におきましてもやはり他町村と同様に三〇%あるいはそれ以上の滞納者があるのでありまして、こういう状態ではとうてい町村政を円満に運行することができない状態にあるのであります。そこで私は七月下旬でございましたか、私は町において滞納の大整理をやろうという覚悟をいたしたのでありますそうして次々に滞納者を役場に呼んでその事情を聴取いたしたのでありますが、その事情を聴取した中に約十人ほど今回問題になりました、いわゆる藤里土地改良の組合員があつて、その人々が二十二度の水害、二十三年度の水害復旧工事に働きに出まして、その賃金が多い者は一萬五千円、少い者で三千円、私の町におきましても一人あたり七千円ほどの労働賃金が未払いでたまつておるのであります。そうしてただ一枚の紙きれを預けられておるのであります。私はその書類も持つておりますからお目にかけてもいいのでありますが、約二百人以上の人があるいは二萬円、あるいは一萬円五千円あるいは一萬円、七千円というように労働賃金をもらうことができないでおるその中の十人が田尻町の人間であります。なぜ労働賃金をもらうことができないかといいますと、県の補助をもらうことができないからである。こういうことを言つておりましたので、私は税金問題もさることながら、それ以上にそれらの人の生活問題、ことにいまや旧盆を目前に控えておるその当時におきましてはまことに必要な金でございますので、私は村は違いましたけれども藤里土地改良農業組合の応援をして書類をつくつて県の耕地課まで参つたのであります。それが八月五日のことであります。そうしてその書類によりましてただちに補助金をもらうことができそうだつたのでありますが、多少不備な点がございまして県庁から地方事務所に電話をもつて照会しなければならぬことになつたのであります。ところが電話は御承知のごとく不通であります。やむを得ず手紙をもつて照会し、あるいは電報をもつて照会し、あるいはわざわざ仙台と栗原の間を往復するという状態を続けましたために、結局旧盆前の必要な金を手にすることができない状態になつたのであります。私はかような問題を県政上の重大問題と考えていただかなければならないと思うのであります。ただ一人の県民でも県政のために生活難に陥つているということがありましたならば、それは大きな問題として、取扱つて行かなければなりませんのに、何事もなかつたというような答弁をされているのはまことに遺憾千萬でございます。私はこの答弁書を拝見いたしまして、あらゆる点において不満の意を表するものであります。もつてこの質問に対する答えがはたして知事のほんとうの意思であるかどうか、打明けていただきたいと思うのであります。私はかりにこれに関係した吏員諸君に職務怠慢あるいは至らない点があつて、こういう結果になつたとしたら、これに対する処分は執行部は自由にやつてもいうと思うのであります。あるいは諄々として説いて聞かして、その態度を改めさせることもいいでありましようし、あるいはまた雷知事というような名目のもとにどなりつけて奮起させる方法もいいでありましようし、最後の手段として行政整理やむを得ずということもありましようがそういうことはともかくとして、こういつた事件が紐つき予算のためであるといわれてもまことにわれわれは遺憾千萬である。そういう認識不足ではまことに困るのであります。そういうような責任を他に転嫁するがごとき態度をとつておられることは、われわれとしてまことに遺憾千萬であります。この点に関しまして知事の率直なお答えをいただきたいと思います。 なお監査員の方にお伺いいたします。監査員の方にお伺いしますためには、いわゆる地方自治法第一九九條によりまして、議会の決議がなければいけないと思うのでありますが、ちょうど議会が開会中でございましたので議長を通じてお願いをいたしましたところお答えがあつたのであります。そのお答えを見ますと現在の出納組織においては栗原地方事務所の電話が通話を停止されるような心配はない。こういうお答えでございます。これは知事のお答えとはまつたく反対のお答えであつて、われわれもそうだろうと思うのでありますが、まことに至れり尽せりの御親切な御答弁であつたと思うのであります。ただ私伺いたい点は、知事さんの答弁の中に監査員の答弁が入つておる。これはどういうお考えであるか、ほんとうにこれが監査員のお答えであろうか。もしほんとうに監査員の御答弁であつたなら別の書類をもつてお答えをいただかなければならないはずであります。はたしてかようなことを監査員がおつしやつたのであるかどうか、これを伺つてみなければなりません。さらにまたこのお答えでは、監査員としては電話料が不払いになるおそれがあるとは認めないと言つておりますがかような簡単な言葉でなしに、知事さんのお答えその他を参考にされて、監査員として、そういうようなお考えを持つておられるかどうか、詳細なお答えをいただきたいと思うのであります。まことに同じようなことを申し上げまして恐縮でございますが以上お尋ねいたします。  〔番外佐々木知事登壇〕 ◎番外[知事](佐々木家寿治君) 七番から県政に対する御心配のあまり、痛烈なる御質問を頂戴いたしたのでありますが、まつたく恐縮千万に存じておるのであります。実際先般書類で、回答申しあげたことは、私決裁をいたしておりますが、起案者は事務に精通しておる係が起案したのでありまして、それに私も同意して回答を申し上げたのであります。要するに回答文はいわゆる役人の事務的答弁ということに帰するのでありまして、書類には、ただいま御質問になりました通り書いてはございますが、しかし内実においては実に不都合を生じて申訳がないということは、これは眼光紙脊に徹ぜられる。七番のすでに御承知のことと思うのであります。私の率直な意見を聞きたいというお話でございますが、私としてはまつたく申訳がない。係の者のある程度の怠慢にほかならないと思うのでありますわずかばかりの金でかようなふしだらを来したということは、綱紀の弛廃と申すべきでありましよう。この点は深く将来戒心いたしまして、再び右のような事態のないことを期しておるような次第であります。その間重大事件がなかつたかという御質疑に対して、重大事件がなかつたと回答したのははなはだ不都合だ、かくかくの事件があつたじやないかというお話でございますが回答文に書きました重大事件と、七番の御解釋の重大事件とは、要するに解釋の程度の問題でございまして、われわれの回答の意味から申しますと、何らほんとうに重大事件が起きたならば、どうしても通話をしなければならない。あるいはまた、他の電話を借りても通話をしなければならないような事態が発生したならば、さつそくその日のうちにも通話停止ということがわかりましてこれを復活したことと思うのでありまして、そういうことがなかつた点から重大事件がなかつたと解釋したので別に他意があつたわけではないのであります。これは要するに係の者のある程度の綱紀の弛緩でありまして、その点は率直にお詫びを申し上げる次第であります。深くこれを戒めて絶対再びかような事態の招来しないようにつとめるつもりでありますから、その点御了解を得たいと思うのであります。 ○副議長(鮎貝盛益君) 七番に御照会いたします。監査員の答弁もお願いいたしますか。
    ◆七番(師義三君) お願いいたします。 ○副議長(鮎貝盛益君) 監査員代表の方お見えでございますか。 ◆一番(森健次郎君) 私以前には監査員をやつておりましたからこの際御答弁申し上げることになるかとも思つたのでありますが、この事件発生当時はもうすでに監査員でもありません。それでただいま御質問になりましたことについて、これが監査員のほんとうの答弁であるかどうか。知事の答弁の中にまじつておるというようなお話もございましたが、これは私わかりません。それでその当時から継続して監査員になつておられます和泉さんが見えておられますから、和泉さんに御答弁を願つたらいかがかと思います。御紹介を願います。 ○副議長(鮎貝盛益君) 監査員の和泉さんお見えでしたら御答弁を願います。  〔番外和泉監査員登壇〕 ◎番外[監査員](和泉) 栗原地方事務所の電話料の不払い問題について監査員の答弁が知事の答弁書の中に入つているが監査員がどうして直接答弁しなかつたか、またここに書いてあることが事実かどうかというような意味の御質問と拜承したのであります。実はこの御質問書にありましたことは、監査員としては正式に承知しておらなかつたのであります。書面の通り知事宛て御質問でありまして、監査員には直接御質問がなかつように考えておるのであります。しこうしてこの知事の答弁にあります要領は、おそらく知事の方において監査員として今までいろいろな報告等もだしておりますから、そういうような関係からして答弁されておるものだろうと推察しておるのであります。だだあとで非公式にわかつたのでありますが、こういうような答弁が出ているということを承知しました。しかしそれと私の考えておりますことと違つておらなかつたのであります。その点ひとつ御了承願いたいと思います。 立ちましたついででありますから御参考までに申し述べておきますが、栗原地方事務所に対する二十四年度の出納関係の書類は出納局から私の方にまだ出ておりませんので、二十四年度として電話料の不払いとなるような状態にあるかどうかは、もちろん私どもにはまだわかつていないのであります。ただ今日まで行いました出納検査の結果からいいますると概括的にはそういう不払いとなるような状態にはないと考えるのであります、ただ予算は御承知のように事務別あるいは事業別、目的別に編成されております関係上、予算令達の時機というようなことからいいますと、時にある種のものについてはただちに支出が困るというようなことも起こることがあるかもしれないと考えられますが、総括的にはそういうことがないものと考えられておるのであります。ただそのほかの予算の令達等に関しましては、毎月の出納検査の報告にも掲げてあります通り、予算の令達が、多少遅れる場合もありますので、地方事務所としてはいわゆる赤字支出になることもままあります。この点は検査の都度報告にも書いてあるのであります。それで出先機関においても仕事を円滑に進めるにはやはり本庁においてもできるだけ適時に予算の令達をすることが必要である。また出先機関においても予算を執行するのでありますから、常に予算額を頭において、そうしてその予算の範囲内において、より以上の効果が上るようにお互いに努力して行きましたならば、こういうようなこともなくて済むのじやないかと考えられます。簡単でありますが、これだけ御答弁申し上げます。    ------------------------------一般質問 ○副議長(鮎貝盛益君) 次に議員より発言の通告がありますので、通告順によつて発言をお許しいたします。三十六番。  〔三十六番屋代文太郎君登壇〕 ◆三十六番(屋代文太郎君) 私は第一番目に予防衛生についてお伺いいたしたいと存じます。予防衛生の必要性については御承知の通りでありまして、申すまでもございませんが、現況から察しますると特にわれわれは痛感せざるを得ない点があるのであります。過去あるいは現在の医学は治療医学にとどまつて予防医学をほとんど軽視している状態にあることは御承知の通りであります。こうした現状から考えまして、最近病人の数はきわめて多くなりつつあり、かつまた一たび病気になりますれば一家の収入を一人の病人に全部費し、あるいはまだそれでも足りないというような状態にあるのであります。こうした観点からいたしますれば県民の生活は病気によつて阻害されるのみならず、絶滅されるおそれさえも十二分にあるのであります。最近の実例によりますと、御承知のごとく東北六県の多額所得者の十名のうち三名は医者であるということが発表されております。私は医者の所得が多くなつたことを云々するものではありません。ただこの医者の所得が多くなつたということは病人がいかに多いかということがはつきりと表われておる事実だろうと思うのであります。宮城県における多額所得者を十名と算定いたしますれば、おそらく三〇%ないし四〇%が医者であるということを私ははつきり申し上げることができると思うのであります。こうした観点から県民は病気をしてはいけないと申しましても、すきで病気になるものはございません。やはり病気にならないように予防医学をもつてこれを阻止しなければならぬと思うのであります。こうした観点から見まして衛生費の八千六百六十一万五千円は僅少ではなかろうかと思うのであります。ことに東北六県における各県のこの予算を見ましても宮城県が予防医学に対して東北六県中最も認識してない、この点に努力していないものであるということをはつきり明示しておるものと考えますので、この点について知事はいかなるお考えであるか、もし予防医学の必要性を十二分にお考えであるとするならば、予防医学を研究すると同時に県の予防医学設備を完全ならしむる意思があるかどうかお伺いするものであります。 第二番目に養蚕についてお伺いいたします。養蚕の必要性はこれまた申し上げるまでもございません。ただ今日の養蚕家は絶滅のおそれがありますので、これを阻止しあるいは振興するために知事はいかなる手を打とうとしておるが、お伺いするのであります。なぜ養蚕家が現在絶滅しなければならぬ状態になつておるかということをきわめて簡単に申し上げたいと思います。その第一原因は御承知の通り過般為替レートが設定され、一ドル三百六十円ということになつたのであります。これによる生糸の輸出はきわめて不利な状態に立ち至つたのであります。この生糸の輸出不利はどこに影響するかと申しますと、製糸家にあらず、養蚕家にのみ一番影響するのであります。そこでこの養蚕家に対しましていかなる援助をするかということであります。第二番目はこれまた最近統制が撤廃されまして自由販売となつたのでありますが、自由販売となりましても養蚕家はせつかく生産した繭を乾燥する設備は全然持つておりません。従つて生のままこれを製糸家に渡さなければならぬ現状にあるのであります。それで製糸家はこのときとばかり値段もきめないで生で受取つてしまつて、あとで最も、有利なところで養蚕家を口説き落して値段をきめるという状態にあるので彼ら養蚕家はいわゆる自由販売になつたのを契機として製糸家のために今や搾取されんとしておるのであります。為替レートという国際的問題によつて養蚕家は首をくくらんとしておる。それに対して製糸家は首くくりの足をひつぱる状態にあるので、どうしても養蚕家は絶滅しなければならぬ状態にあるのであります。そこで私は養蚕家に対しては単なる金銭上の補助のみではいけない。少なくとも生で出さないで乾燥して、ある日数を持ちこたえる設備をさせることが養蚕家を助ける根本原則であろうと考えるのであります。こうした観点からいたしまして、宮城県内にぜひとも宮城県の産繭を乾燥する設備を持たなければならない。これは県営によるもよし、また県営によらずんば各養蚕団体、あるいは県連に対して補助して設備させることが養蚕家を助ける大きな問題であろうと考えるのであります。今年の春繭におきましても、養蚕家代表と製糸家代表とが値段のとりきめについて相談いたしました際、一方は五千掛けを主張し、一方は四千七百掛けを主張したのであります。しかし製糸家代表は御承知のごとくイギリスの経済が恐慌を来し、ポンドの暴落を来しておる。アメリカまたしかり、世界恐慌は必ず来て、どうしても物価は暴落するのであるから、この際値段をとりきめないで、うやむやにした方がいいという考えのもとに値段をきめなかつたのであります。ところがあにはからんや七日に至りまして輸出生糸は大暴落を来した。しかしこれも七月をどん底にして八月から次第に上つて来て最近に至つては約二割五分の暴騰を来しておる。そこで製糸家はさあたいへんだ今のうちに値段をきめなければならぬ、高くなつてからでは損だというのであせり出して、最近ようやく四千三百五十掛けという掛け目をもつて決定したのであります、しかしながらこの掛け目の決定方法はきわめて不順であると断ぜざるを得ない何ともなれば四千三百五十掛けはおそらく暴落当時の最低の掛け目であろうと思うのであります。値段をきめる際は受取つたときの値段と、今日きめるときの値段を合せて平均してきめるのが妥当な値段であると思う。この妥当な値段は幾らであるかというと、私は四千七百掛けが適当であろうと思うのであります。現に四千七百掛け、あるいは四千八百掛けが全国いたるところにあることを承知するのであります。こうした観点からいたしまして四千三百掛けに決定されたことは養蚕家にとつてまことに甚大な損失となるのであります。こうしたことが年々各地において繰返されるとすれば養蚕は振興するどころか、絶滅以外にないと断じてさしつかえないとおもうのであります。もし生糸の輸出が日本再建の基礎であり、輸出貿易の大宗であるこの養蚕がどうしても必要であるとするならば、むしろ宮城県においてはこれを振興させなければならぬ。それにはやはり今申し上げました乾繭設備を何とか考えなければならぬと思うのであります。前議会におきまして養蚕家に対して二百五十万円の補助金が確定されたのであります。これに対して、私は養蚕家でありませんが、満腔の感謝の意を表するものでありますが、せつかく確定された二百五十万円がいまだに交付されていないということであります。なぜ前議会に決めたのがいまだに交付されないのか。私はふしぎでたまらないのであります。せつかく養蚕家のために決定された二百五十万円でありますから、ぜひ早く養蚕家のためにこれを使つてもらいたい。養蚕振興に寄與したいという知事のせつかくの誠意が、もしもこれが遅れ、あるいはその配付方法を誤つたとするならば、かえつて逆な現象を起す。いわゆる養蚕の振興にあらずして、養蚕振興の妨害となるに至ることを私は憂えるのであります。こうした観点から、この二百五十万円を即刻配付し、なおその配付方法はきわめて公平妥当な配付をされるよう希望するものであります。 それから繭の検定所の問題であります。私は検定所の検定方法などははつきりわかりませんけれども、養蚕家側に言わしむるならば、検定所は必要ない。あれはわれわれの味方にあらずして製糸家の味方である。われわれの掛け目を法的にごまかさせるところの期関であるからあれは必要ないということは養蚕家の異口同音に唱えておるところであります。他郡はいざ知らず伊具郡においてはそうした声はほうはいとしております。これはごまかしておるか、不正をしておるか、その点わかりませんけれども、過去を振り返つてみますと、御承知のごとく検定所は昭和二十年かに火災によつて焼失した。そうして二十一年度は宮城県において検定することができないので、群馬県の検定所に依頼して検定したことがあつたのであります。そうすると十五匁玉の糸目が出て来た。しかるに宮城県においてはその以前においても以後においてもいかに繭のいいときでも十五匁五という糸目ができたことはない。一番よくて十五匁〇六が最上である。二十二年度は宮城県で検定したのでありますが、ことのきは十四匁六五という数字が出て来たので、これらを考えてみますると他の検定所で検定すると多く出て、宮城県で検定すると技術の不備なためかどうかわかりませんけれども、少いという結果が生れておるのであります。この結果からいたしますれば、養蚕家といたしましては、なるほどごまかされておる。われわれの味方でない、敵であるということを考えたのはむりからぬことと思うのであります。この点についてよく御研究をいただいて、もしも養蚕家の敵であるとするならば、これを改善するか、改善不可能であるとすればこれを廃止していただきたいと思うのであります。今年度の検定所の予算は六百三十五万七千九百七十五円という尨大な経費を計上してあるのであります。これによる収入予算は二百十五万円でありまして、この差四百二十万円というものは県費によつて負担されておる。これは県民の負担に属しておるのであります。こうした観点から、もしも私が聞いておるような検定所であるならば、ぜひこれを廃止してもらいたいと思うのであります。かく考えますときに、知事は養蚕家のために全力をあげて、この養蚕家の絶滅を阻止しひいては養蚕振興のために力を尽されんことを切望すると同時に、その意思ありやいなやをお伺いするものでございます。 第三番目は税の問題でございます。得に県で徴収しておる事業税であります。しかしながら事業税は執行部のみの責任ではございませんで、私たち議員も條例においてこれをとりきめております。また地方税法によつて、これは県独自で変更することができないということを知つておりますが、いかにできなくともこれを変更する努力をしなければならぬと思うのであります。せんじ詰めて申しますと、事業税の徴収方法はきわめて不均衡であり、大衆課税であると思うのであります。私はこの事業税の二億八千六百万円という金額が、多いとか、少ないとかいうことをいうのではありません。もちろん必要であるならば三億円でも三億五千万円でもけつこうですが、ただ徴収方法はきわめて公平妥当にやつていただかなければならないと思うのであります。一例をあげてみますと、三万円と所得が決定されました場合は、これは家族六人で扶養家族三人と見た場合でありますが、所得税は零であります。しかるに事業税では五千四百円納めなければならない。五万円の人は所得税において二千三百五十円であるが、事業税においては九千円であります。かく考えますと五万円の人は所得税の二・六倍を事業税として、納めなければならない、こういうことになつております。また十万円の所得の人は所得税が一万七千八百五十円、事業税が一万八千円、これはやや同額であります。今度は二十万円の所得の人は所得税が五万八千八百五十円、事業税が三万六千円で、所得税の六一%で足りることになります。三十万円の人は所得税の四五%、五十万円の人は所得税の三八%をもつて足りることになつておるのであります。なるほど表面は第一種の事業税は九%となつておりますので、多い人は多いだけ納めるというような形に見えますけれども、実質的に納める所得税から見た税はきわめて不均衡きわまるものでございまして、いわゆる少額所得者を困らせる。こういう結果を生んでおるのであります。これは所得税の未納者が少額所得者よりも高額所得者に多いということにおいてもわかるのであります。しかるに事業税においては高額所得者は納めておるが、少額所得者は大部分が納めていないという現実から考えてみましても、いかに事業税のために少額所得者が困つておるかということがはつきりわかるのであります。こうした観点からいたしまして、私は累進税をもつてやるかさもなければ扶養家族の控除を用いてやることが一番正しい徴税方法ではないかということを、私ははつきり申し上げることができると思うのであります。こうした意味合いからわれわれももちろん協力いたしますが、地方税法に対して政府に追つて、そうしてこれでは県民の少額所得者、少なくとも五、六十%の人がこのために困つておるということを申し上げて一刻も早くこれを是正しなければならぬと考えておると同時に、私はその責務を痛感しておるのであります。本日の新聞によりますと、全米国の貿易審議会が日本の徴税はきわめて苛酷である。この税率から見るとほとんで没収に近いものである。これまでの日本の税務行政の経験からおして、このような税金は徴収不可能である。これでは脱税を誘致するものである。ことに事業の拡張はもちろんのこと、経営すら維持することができないということで、この審議会において国務省あるいはシヤウプ博士に勧告書を出しておるということであります。何千里か離れたアメリカにおいてこうしたことが感ぜられるとき、足元の宮城県が県で徴収しておる事業税の徴収方法にいまだに気がつかずして少額所得者を苦しめておるということは、あまりにもはずかしい次第でなかろうかと思いますので、これも一刻も早く是正されんことを切望すると同時に、知事にその所信ありやいなやをお伺いするものであります。以上三点をお伺いいたします。(拍手)  〔番外佐々木知事登壇〕 ◎番外[知事](佐々木家寿治君) 三十六番からるる御質問がございましたが、第一は予防衛生の設備がはなはだ貧弱ではないかという御議論でございますが、私は医者ではございませんからよくわかりませんが、医学の研究、または教授等の面においてはやはり予防よりも治療に重きを置くのではなかろうかと考えるのであります。もつとも予防をやつておつてはお医者さんの収入がありませんので、治療の方にどうしても傾きやすいのでありますが、そういう点は別問題といたしましても、予防ももちろん必要な事項でございます。それでその点については相当の経費をかけ、また骨を折つてをるつもりでございますが、いかんせん財政面の逼迫から、ごらんのような貧弱な予算を計上するにとどまるのでありまして、この点はなはだ恐縮に存じております。三十六番の御議論を拜聴いたしますと、東北六県で一番予防費の予算が貧弱であるというお話でありますが、あるいはそうかもしれません。しかしながら、また東北六県を旅行してみた場合において県民の医学上の知識などを比較したならば、宮城県民の方が、他の五県に比較して予防上の知識が数段上でありまして、予算は少くとも他の五県くらいの予防は十分行き届くのでなかろうか、これにたくさんの金をかけたならば、鬼に金棒でまことにけつこうでありますが、将来そういうふうに勉強して行くつもりでありますから御了承を願いたいと存じます。 次に養蚕の問題でございます。養蚕家がこんな状況では絶滅する、これに対する県の施策いかんというお尋ねでありますが、先般為替レートの設定以来、この点については、各方面とも非常に心配をしておるのでありますが、しかし現在の状況では為替レートの設定のみでは養蚕家は絶対につぶれることはなかろうと思うのであります。為替レートの関係だけであるなら、生産コストをもう少し下げれば、十分にそろばんがとれると思うのであります。私はナイロンその他の発明によつて日本の生糸の需要がますます減退することは重大問題でありまして、考えざるを得ないのでありますが、日本生糸の消長を考えてみますと、実に浮沈きわまりない状況でありますが、どうやら現在の情勢を見るに、一方に敵が現われると一方に味方が現われるというようなわけで、将来にわたつて決してそんなに悲観すべき問題でなかろうと思うのであります。ただ県といたしましても傍観するわけに参りませんので、今回若干予算化もしておると思うのでありますが、養蚕家に対して今度は副業的にめん羊を飼育させて今まで単に肥料として捨ててあつた蚕の糞をこれに食わせて、これによつてかなりの収入をあげようという計画を立てておるのであります。これには相当骨を折つて重要な産業にいたしたいと考えておるのであります。それから検定所の信用云々の問題につきましては、いつかもそういう不平を買つたことがございますが、私は決してそんな不信用なこともなかろうと思うのであります。たまたま誤つて検定したのが発見されたようなこともあるかもしれませんが、絶対的にこれが不信用なものでなかろうと思うのであります。ことに本県においては東北中では検定所に最も重きを置いて、経費をかけてやつておるのでありまして、将来農林省において共通の試験なども試みられるそうでありまして、そういうことにおいて検定所は一層緊張した検定をやることと思うのであります。なお本県におきましては、民間人に御依頼申し上げまして検定の批判会等も開いてやつてみたいと考えておるのであります。右ようの意味合いから決して検定がさように不信用でないと同時に、将来ますます信用を博するような施設を講ずるというようにお考えおきを願いたいのであります。 なお製糸家のために養蚕家が搾取されて苦境に立つというお話でありますが、製糸家も数多くございますし、なおまた、自由販売の今日宮城県の養蚕家が宮城県の製糸家のみに売らざるを得ないというわけでもありませんので、他県の競争もあり、かたがたいたしまして決して製糸家がさような横暴をするとは思いません。しかしながら乾燥設備等にこれから着々尽力いたしまして、生繭取引の域から脱却させるよう乾燥設備等についても十分考えて参りたいと思つております。昨年は養蚕も非常に好況でありましたが、ああいうふうに好況に走るわけには行きますまいが、絶対絶滅というような状態ではない。がまんにがまんを重ねて、来るべき好況を待つと同時に、他の方面にも手を染めて収入をはかつて行く。それらの点で養蚕家は成立つであろうと考えておる次第であります。 税につきましては他の番外から答弁をいたさせます。  〔番外塩谷宮城県部長登壇〕 ◎番外[宮城県部長](塩谷末吉君) 三十六番議員の第三の御質問でございます事業税の問題につきまして、お答え申し上げたいと存じます。事業税の徴収方法が不均衡であり、大衆課税であるからこの点を大巾に改正すべきであると思うがどうかという御質問と存ずる次第であります。事業税は先ほどお話のありました通り、事業税法に規定する法定税目でございまして課税対象、並びに課税の方法などにつきましてはすべて法律で定められてありますので、控除及び累進課税の点につきましては現在のところ県独自の見解をもつてしては何とも改めることができないことになつておる状況でございます。また少額所得者に対する課税が不適当であるという御意見につきましても、私どもといたしましては同感であるのでございますが、この点も税率等につきまして法律で規定せられておりますので、県限りでは何ともならないので機会あるごとに中央に意見を具申しておるのでありますが、近くシヤウプ観察団の調査の結果、全般的に税法改正が行われると思うのであります。その際におきまして、何らかの措置が講ぜられるやに聞いております。しかしながら、われわれといたしましてはこの点につきましては、絶えず努力を続けて参りたいと考える次第でございます。 ○副議長(鮎貝盛益君) 暫時休憩いたします。  午後二時三十六分休憩    ------------------------------  午後三時十分開議 ○副議長(鮎貝盛益君) 再開いたします。 次にお許しいたします。八番  〔八番加藤武雄君登壇〕 ◆八番(加藤武雄君) イーブン、コーボーメークス、ミステイクス、インライチングこの言葉は私らが中学時代に聞かされた英語であります。私は電話問題その他、知事が考えてあるところの農業裏作問題について少し質問してみたいと思います。 弘法も筆の誤りだから電話料の不払いがあつた場合には私どもは情宜においてとがめるべきではない。しかしながら私は議会を通して一番不平不満を感ずるのは法律家が法律を論じながら、その法を冒涜しておるという事実をどうしても見逃すわけにいかぬなぜであるか、法律は公正に人権を維持するのでなければならないと信じておる。もちろん法律家はかく信じ、かく語つておると私は信じておる。しかるにかかわらずこの電話問題に対してとつた佐々木栗原事務所長は、少なくとも高等文官試験をとつておつて、相当法律を理解しておるはずである。電話を架設するに当つては、電話加入規定というものがあり、電話加入規定の第二百二十一條には少なくとも電話加入不払いの場合は、その前月の不払いは翌月の二十八日に督促状を出すということになる。しこうして三十日までに納金をいたさない場合は、その翌々月の一日午前零時から差押さえをし、通話を停止するという條文がございます。しこうして遞信監査局長は電話規定第九十三條によりまして、もし電話料不払い場合においては財産の差押さえのその條文を監督郵便局に指令することができることになつております。栗原地方事務所の電話料不払いはここには二月だけと書いてあるが、五月、六月、七月にわたつて電話料が不払いであるということは明らかでございます。私どもは法律をこしらえるときたとえば最近われわれの手によつてなつた自転車取締り條例を見ますと、自転車を購入して一週間以内に届出をしない場合には五千円以下の罰金に処すという宮城県條例がこの議会でつくられております。また県が納税規則によつて一万円の滞納者には一年を通じて、七千三百円の高率の利息を課して滞納処分をします。県は自分のこしらえる條例は厳粛にこれを行う。しかるに先ほど師氏からお話のあつたように、その日暮しの労働者に対する賃金も払わないでおいて、自分たちの法律だけを主張するということは法律の尊厳を冒涜するものと私は信ずる。いやしくも法律をつくり、法律を運用するものは県條例も厳粛に行うかわりに、また電話加入規定第二百二十一條及び電話規則第九十三條を遵法して、絶対に迷惑にならないように係員をして電話料を支払わしむべき責任あるものと考えておるのであります。しかるにかかわらず、この電話加入規則を無視しておいて、県の條例だけまじめに行えというようなことがあつては法の尊厳を冒涜するものと私は信じます。この電話事件は実にわが法律を悪用したという意味において法律家が等しくこの問題を注視し、その成行きいかんを見守つておるものであると思うのであります。この電話料不払い事件に似た問題がもう一つあります。いわゆる県庁事件にこりごりしたわれわれは綱紀粛正を叫ぶこと実に一箇月もはや吏員諸君は綱紀を粛正してしかるべきである。しかるに栗原地方事務所は昨年度は百万円の自動車購入寄付問題に関して当議会において相当論議された。しかるにもかかわらず、地方事務所は、この不用な自動車を買うために第三迫川の水源地にある百万円の森林を伐採したということを私は論じたことがあるが、執行部はかくのごとき事実があるかないか、そういうことを調べて、県庁事件の後始末いかんとかたずをのんでおる県民に対して、これを明らかにすることが県民に対する親切なやり方であるとかたく信じておるものであります。ゆえにこの点について佐々木知事はいかに考えておるか、この問題をまず第一にお伺いしておきます。 第二に佐々木知事に質問したいことは、グレート、リーダー、シツプマン、この言葉は少なくともヒツトラーがベルリンにおいて横死して以来、もはや世界にはグレートリーダー、シツプマンという政治意識はなくなつて、グレート、シツプマン、コンモンセンスに切りかえなければならぬということを世界の政治経済を研究しておる者は唱えておる。これは人類向上の必然的要求である。民衆政治に対しては確実にそれをなさなければならぬと信じておる。しかるにかかわらず、ヒツトラーの横死後四年にして、今日支那にグレート、リーダー、シツプマンという言葉が再燃した。支那の共産党軍の掲げておるあの旗に真一文字の金線が書いてあり、その横に八月一日と書いてある事実を考えてみると、歐州のグレート、リーダー、シツプマンの意識がまた東洋の一角に現われたことを考えて、これは現代の政治家が国民の感激の精神を誘致しない結果であるというこの世界の悲惨事を考えなければならぬ。見よ今日共産軍は湖南省を席巻して廣東に迫つている。閻錫山や李宗仁がいかに方法を講じてもあと一、二箇月で廣東は陥落するのではないか。しかも廣東から毎日飛行機が重慶に送られ、あるいはまた汽船一隻で台湾に支那の要人がどんどん逃げておる状態を見るときに、国民に感激のない政治経済が崩壊するという事実をわれわれは考えてみなければならない。佐々木県政は少くとも佐々木氏が全宮城県のために考えるならば、県民を納得せしめ、感激を誘致する、その方法を講じて百六十万県民の理解と協力を得なければならぬと私はかたく信じておる。そこに県政の発達があることを考えて、佐々木氏は宮城県のために過去の指導理念を捨てて国民的感激、県民的感激を誘致して、ここに県民の実態を把握することが現行自治法の要求するところであり、部下のしたことはおれの責任でないというような考えではとうてい宮城県民の感激を誘致することができない。かかる見地から知事はみずから立たなければ県民を動かすことができないことを考えるときに、佐々木氏は少くともみずから立つてこの問題を解決する熱意がなければならぬということを痛感するものであります。この点に対する知事のお考えを伺いたい。もう一つ佐々木栗原地方事務所長が郵便局長に対して滞納を延期して通話停止を何とかやめてくれと申し込んだときに、郵便局長は何と言つておるか。栗原地方事務所ばかりでなく、築館には亜炭業者のような悪質な人間がおつて電話料を払わないから困る。そこで地方事務所をかばつて、亜炭業者を差押さえするわけにいかぬから、どうか地方事務所も同様な法律に従つてもらいたいと郵便局長は申し入れておる。そのとき佐々木事務所長は何と言つておるか、従来は県庁が滞納しても通話停止ということがなかつたし、まだまだと思つて滞納しておつたと告白しておる。私はこの点を言いたい。郵便局長は地方事務所は宮城県庁の出店であるから官吏のいうことを尊重し、また地方事務所長も県庁の出店であるから何とか默許してくれるだろうと考えることは、法を曲解すると同時に、官僚独善の意識がまだ残存しておるという事実を私は考えたい。農地改革は土地の禁令をさしたのではない。過去の支配意識と過去の支配勢力は一掃して、そこに民主的な農業経営をすることか必要であるということから農地改革がなされておるというこの事実を考えてみて、わが日本の再建のためには過去の官僚独善の意識を捨てて、明朗な民主政治の運営をすることが現知事の責任であると私は痛感するものであつて、官庁だから電話料は納めなくても通話を停止しないだろうとうぬぼれることそれ自体が官僚独善の意識でないかと考えるときに、われわれは今後の県政明朗化のために知事はよろしくかくのごとき官僚独善意識を一掃して、ここに宮城県民を感激のるつぼに入れて、明朗な県政を運営すべきであると考えるが、この点について知事は一体いかなる所見を持つておられるか、お伺いいたしたいと思います。 第四に私は電話料について論じたいことは、大体知事さんも知つておられることと思いますが、巷間にはこういう流説がある。電話料も納められないで通話が停止されるともうあの家はきまりだ。電話料も納められないのだから。こういう巷間の流説があります。そこで宮城県庁が電話料も納められないとなると、宮城県債を買わせるにも、また宮城県の県税徴収にも、電話料も納めないような県財政状態では県債は買えない。あるいは差押えをされても困るという意識が濃厚になる。この点をわれわれは考えてみなければならぬ。金は四十三億円のうち、たつた六万円の金であるから実に九牛の一毛であるが、この巷間の流説を考えるときに、県政の運営に支障がありはしないか、私はこの問題は軽々に論断すべきものでないと思う。知事は今後、かくのごとき地方事務所が絶対なからぬことを期して、今後県民、協和の大道を確立するためにこの点再考してもらいたい。もう一つ私考えていることは、師氏の質問書の第十一と第十二に、これは事務上の関係でない。いわゆる国家の税制制度が悪いからやむを得ずこうなつたと書いてある。そうして第十二には、しかし現行の財政方法では善処することが可能であるという二つの示唆がある。この点から考えてみたときに、この問題に対しては、私は慎重に考えて、いやしくも国法に名をかりてみずからの足らざるを忘れておるようなことがあつては宮城県政のために遺憾である。この点を佐々木氏は何と考えておられるか、知事はこの電話料を納められないという事件について相当の責任を感じなければならぬと思うが。この点について知事の所見を承りたい。 次に知事はきよう裏作改良費百五十万円の予算を提案せられた。一体知事は世界食糧と日本の食糧と、それに東北農業の地位をどうお考えになつておるか。本年の世界食糧事情を検討してみるに本年ニユーヨークにおいて小麦協定をいたしたとき、濠州とカナダとアメリカは前年において三億五千万ブツシエル出した。ことしは四億四千万ブツシエル出すことになつた。しかるにソ連は本年度は七万五千ブツシエル出したいから了解してくれといつて来た。そこで濠州とカナダとアメリカが反対して、ここに協定が破棄された、あるいは近く鉄のカーテンのかなたから安い小麦が年額一億ブツシエル放出されるのではないか、こういうことを考えるときに相当の恐慌を考えなければならぬ。これに対してわれわれの農業政策は一大研究をなさなければならぬと同時に、もしそれソ、米関係が今こそ冷静なように見えても三、四年後のことを考えるならば、われわれは端倪すべからざる危険が存在することを考えなければならない。もし日本にアメリカの食糧が来なくなつたらおそらく日本は終戦当時よりより悪い状態に陥ることは必至であると考えなければなるぬ。かかる観点より考えますときに、われわれは東北の持つ農業機構の拡充強化を考えなければならぬと思う。新潟県には水田面積が十七万六千町歩ある。宮城県には十万町歩、福島県には九万八千町歩山形県には九万六千町歩、秋田県も同様、青森県には七万町歩、岩手県には六万七千町歩ある。合計六十九万六千町歩の水田を東北は有しておる。佐々木知事は東北七県ブロツクの会長だと聞いておる。この点から考えて裏作農業を主張せられる佐々木知事は、目を世界に開いて、しこうして日本の食糧問題を考えて一大飛躍的手腕を振う必要があると思う。佐々木知事の若いとき、またわれわれの若いとき、駒場農科大学の歌にこういう歌がある。アルゼンチンは幾千里、カカオの実がなる鐘がなる。お前も男ならこんな小島におられない。という歌があつた。当時佐々木氏は盛岡高等農林に笈を負つていられたときと考える。しかもブラジルには六万億エーカーの耕地がある。世界の食糧と日本の食糧事情を考えるときは、佐々木氏はここに思いをいたして、東北の持つ六十九万六千町歩の水田裏作を考えて急いで、用水法を制定して、そうしてこれから一石づつよけいとれても七百万石、もし裏作に菜種を植えたら実に千四百万石の主食が農業東北七県ブロツクの形成によつてできるというこの偉大なる事実にかんがみ、百五十万円というような小さな予算を出さないで、東北七県ブロツクを形成して、この水田裏作用水法をつくつて千四百万石の食糧増産を考えなければならぬと思う。世界の食糧は三年後には偉大な変化がある。日本民族が、今日重大な岐路に立つておるとき、佐々木氏は東北ブロツクの指導であることを考えて、百五十万円というような小さな予算をださないで、少し大きな気持になつてわが県を東北の雄県とし、しかも東北をして偉大なる農業圏に変更する意意がないかということをはつきりと御答弁願いたいと思うのであります。(拍手)  〔番外佐々木知事登壇〕 ◎番外[知事](佐々木家寿治君) 八番議員から主として栗原地方事務所の電話の通話停止の問題について御質問がありました。この点については先ほど七番にお答えしたような次第でまつたく恐縮しておる次第であります。ただその間森林を伐採して自動車云々というお話がございましたが、まだ私はその問題について聞いておりませんので聞きただしましてからお答えを申し上げたいと思います。 第二の御質問といたしまして、グレートリーダー、シツプマンというようなことで話題をもたれたようでありますが、ただいまの自治法にはどういうふうになつておるかわかりませんが、私ども衆議院におりました際には国会の議事法には外国語は用いるなということになつておりました。というのは私のような外国語に堪能でない者がやはり議員中にも、また閣僚の中にもあるからであろうと思うのであります。いかんながら私の最も貧弱なる外国語の知識においてはどうもこの点はほとんどわがらないので質問を伺つておつたような次第であります。この点はあまり答弁はできないことでありますが、ただその段取に部下にのみ責を負わせるというお話であります。私ども決して部下に責任を感じておるということをお含みおきを願いたいと思います。郵便局長に地方事務所長から通話が停止にならないようにという申入れをしたということでありますが、これはやりそうなことでありまして、これが官僚独善の方法とお話になりましたけれども、官僚独善ばかりでなく、私どもも電話の通話停止を受けた際には、もう少し待つてくれということを申し入れたことがございます。こういう申し入れをしたがとうとうきかれないで、これが問題になつたのでありまして、決して地方事務所長その他の者が官僚独善的な考えを持つてやつたことでないと存じております。 第四にこういうような不信用を世間に流布したならば県債応募等もあるまいというお話まことにその通りであります。しかし県は将来こういう問題の起らないように、また県債などを出した場合には十分信用を得て県債応募者が殺到するように努めたいと存じております。 第五番目に裏作の試験費として百五十万円ばかりの金を出して、満足するかというお話でありますが、これは試験費でありまして、ただいま八番がお述べになりましたような収穫を着々と上げて行くための試験であります。最初から成功するかどうかわからないものに大金をかけることは、かえつて危険であろうと考えまして、十分なステツプを踏んで(英語を使うなと呼ぶ者あり)そうして裏作の大成功を収めたいと思うのであります。(拍手)    ------------------------------ △議案各常任委員会付託 ○副議長(鮎貝盛益君) ただいま追加上程されました議第一一五号議案ないし議第一二五号議案はそれぞれその所管に属する各常任委員会にその審査を付託いたします。    ------------------------------ △請願陳情等報告 ○副議長(鮎貝盛益君) 次に請願陳情等十七件が追加提出されてあります。書記をしてその件名を朗読いたさせます。  (書記朗読) 一、肥料検査所設置に関する請願 一、灌漑排水電気施設に対する電柱税の免税方に関する請願 一、灌漑排水用電柱に対する課税を免除方措置に関する請願 一、樹苗生産振興の為補助金継続交付、苗木の買上、事業資金の借入方等に関する請願 ○副議長(鮎貝盛益君) 以上であります。追加提出ありました請願陳情等はそれぞれその所管に属する各常任委員会にその審査を付託いたします。 ◆二番(大平良治君) ただいま上程中の議第一〇一号議案ないし議第一二〇号議案につきましては、明二十日は各常任委員会が開催せられ、明後二十一日は日曜日でありますので、それぞれ本会議を休会とし、来る二十二日に継続上程することとし、本日はこれをもつて散会せられんことの動議を提出いたします。何とぞ御賛成を願います。  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(鮎貝盛益君) 二番の動議は議題と相なりました。右動議に御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(鮎貝盛益君) 御異議なしと認めまして、右の通り決します。 すなわち本日上程中の議第一〇一号議案ないし議第一二〇号議案につきましては明二十日は各常任委員会が開催され、明後二十一日は日曜日でありますので、それぞれ本会議を休会といたし、来る二十二日に継続上程いたします。なお二十二日の会議日程は上程中の各号議案の継続議であります。 本日はこれをもつて散会いたします。  午後三時四十三分散会...